共働きなのにお金が貯まらない原因は?固定費と二つ目の収入を見直す方法

はじめに¶
夫婦で働き、世帯としては十分な収入がある。それなのに預金残高が増えず、車の故障や家電の買い替えだけで不安になる——。こうした「共働きなのにお金が貯まらない」という悩みは、単なる浪費だけでは説明できません。
問題になりやすいのは、二人分の収入を前提に住宅費や車、教育費などの固定費が膨らみ、さらに保育、通勤、外食、家事の外注といった「働き続けるための支出」が増えることです。
この記事では、共働き家計が不安定になる仕組みと、二つ目の収入を将来の選択肢につなげるための判断基準を紹介します。
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共働きなのにお金が貯まらないのはなぜ?¶
収入が二つあれば、家計の安全性も高まるように思えます。しかし、二人とも働き続けなければ毎月の支払いを維持できない家計では、収入の多さがそのまま安心にはつながりません。
たとえば、共働き家庭では次のような支出が固定化しやすくなります。
- 住宅ローン、家賃
- 管理費、修繕積立金
- 保険料
- 車の維持費
- 通信費
- 教育費、保育費
- 通勤に必要な費用
- 外食や家事代行など、時間不足を補う費用
一つひとつは必要性のある支出でも、すべてを二人分の収入に合わせて増やすと、毎月の収入が現在の生活にほぼ予約された状態になります。
昇進や昇給があっても、それに合わせて住まいや車、利用するサービスを変えれば、口座に残るお金は増えません。これが「生活水準のインフレ」です。
二つの収入が家計の安全網にならない場合がある¶
ポッドキャストでは、二〇〇三年に当時ハーバード大学の法学者だったエリザベス・ウォーレンが、破産した二千以上の家庭を調べた研究を取り上げています。
調査対象となった家庭の多くは、高級品や旅行に多額のお金を使っていたわけではなく、服や食事、家電などの日常的な支出を抑えていました。それでも、二つの収入を前提に固定費が増えた家庭では、失業や病気などをきっかけに家計が崩れることがありました。
もちろん、これは「共働きが悪い」という意味ではありません。確認したいのは、二つ目の収入が次のどちらになっているかです。
- 貯金や投資など、将来の資産を増やす収入
- 現在の固定費や、共働きを維持する費用に消える収入
二人で働いていても、片方の収入がなくなれば支払えない契約が多いほど、家計の自由度は低くなります。
月四十八万円の共働き世帯でも余裕がない家計例¶
ここからは、ポッドキャストに登場する健太さんと彩香さんの例を整理します。
彩香さんの月収は賞与分をならして約二十一万円、健太さんは約二十七万円。世帯月収は約四十八万円です。二人は約三千万円のマンションを購入しました。
仮に物件価格の七割にあたる約二千百万円を三十五年で借り、変動型住宅ローンの金利を年〇・三%から〇・五%程度とすると、返済額は月五万円台から六万円台が一つの目安とされています。
ただし、住宅にはローン返済以外にも、次の費用があります。
- 管理費、修繕積立金
- 固定資産税
- 火災保険
- 駐車場代
さらに二人の家計では、健康関連の支出が月約三万円、車の維持費が月約四万八千円から六万円、食費が月約九万円、光熱費や通信費などが月約二万四千円かかります。交際費や日用品も月約三万円になることがあります。
税金や社会保険料を差し引いた手取りは、二人で月四十二万円から四十五万円ほどです。子どもがいない時期には多少の余白があっても、そのお金で次の支出に備えなければなりません。
- 将来の教育費
- 車の故障
- 家電の買い替え
- 医療費
- 老後資金
何も起きなければ残るものの、予定外の支出が重なると簡単に消えてしまう余白です。
片方の収入がなくなったら固定費はどうなる?¶
片働き家庭で働いている人の収入が止まれば、収入は一〇〇%失われます。ただし、生活費が低く、もう一人が新たに働ける余地が残っている場合もあります。
一方、共働き家庭で片方が失業すれば、失う収入は半分程度かもしれません。しかし、住宅ローンや管理費、車、教育費などの請求は一〇〇%残ります。
日本の雇用保険の基本手当は年齢や賃金によって異なり、退職前賃金のおよそ五〇%から八〇%とされています。それでも、収入が減ったからといって、住宅ローンなどの返済額が自動的に減るわけではありません。
健太さんの月二十七万円の収入がなくなった場合、ポッドキャストの設定では、貯金で持ちこたえられるのは家と食事を優先しても約二か月です。三か月目には、住まいを維持できるかが現実的な問題になります。
ここで大切なのは、失業を過度に恐れることではありません。現在の預金額と毎月の必要支出を確認し、片方の収入が止まった場合に何か月暮らせるかを把握することです。
二つ目の収入から「働くための費用」を引く¶
二つ目の収入が家計にどれだけ貢献しているかは、額面や手取りだけでは判断できません。保育、通勤、仕事用の服、外食など、働くことで増える費用を差し引いて考える必要があります。
子どもが二人いる場合の計算例¶
彩香さんの月収二十一万円から税金や社会保険料などを引いた手取りは、約十八万六千円です。
夫婦ともに帰宅が遅く、延長対応や送迎のある民間施設、私立やバイリンガル教育などを選び、食事や教材を含めて子ども一人あたり月約六万円かかるとします。二人なら月十二万円です。
さらに、働くための交通費、服、化粧品、仕事上の付き合いなどの自己負担分を月約一万八千円とすると、計算は次のようになります。
- 手取り:約十八万六千円
- 子ども二人の費用:約十二万円
- 働くための費用:約一万八千円
- 残り:約四万八千円
これはポッドキャスト内の条件に基づく一例であり、実際の費用は家庭の状況や選択によって異なります。
見落としやすい「疲労税」¶
ポッドキャストでは、共働きによる疲れから増える支出を「疲労税」と表現しています。制度上の税金ではなく、時間や体力の不足をお金で補う費用を指す言葉です。
具体的には、次のような支出です。
- デリバリーや外食
- 調理済み食品
- 家事代行
- クリーニング
- 疲れを乗り切るための商品やサービス
自炊中心の生活との差額が月約三万円となり、ほかの費用も含めると、疲労によって増える支出は月約四万二千円から四万八千円になるという設定です。
彩香さんの手取り十八万六千円から、子ども二人の費用十二万円、働くための費用一万八千円、疲労税を最大四万八千円差し引くと、家計に残るお金はほぼありません。
ただし、収入だけを理由に仕事を辞めるべきだという話ではありません。仕事には、経験、キャリア、人とのつながりなど、収入以外の意味もあります。重要なのは、共働きを続ける費用を把握したうえで、自分たちが納得できる働き方を選ぶことです。
一人分の給料で暮らすという家計管理¶
共働きの強みを資産形成につなげる方法として、ポッドキャストでは「一人分の給料で暮らす」という考え方を紹介しています。
例として登場する翔太さんと美咲さんの世帯収入は、健太さんたちと同じ月約四十八万円です。ただし、二人は約三千万円の新築マンションではなく、約千八百万円の中古マンションや駅から離れた住宅を選びました。
物件価格の三割だけを借り、住宅ローン返済は月約六万円。車は所有せず、自転車や公共交通機関を使います。
生活費は翔太さんの月約二十四万円の範囲に収め、美咲さんの月約二十一万円は、次の用途へ回しました。
- 住宅ローンの繰り上げ返済
- 預金
- NISA口座などを使った長期のインデックス投資
ポッドキャストの例では、これを六年間続けた結果、住宅の借入を返し終え、預金と投資口座に一千二百万円を超える資産ができたとされています。
これは紹介された夫婦の事例であり、同じ期間で同じ結果になることを保証するものではありません。投資には価格変動などのリスクもあります。
この考え方の本質は、すべての家庭が文字どおり一人分の給料だけで暮らすことではありません。二つ目の収入をすべて固定費に組み込まず、失業や病気の際に使える余白を残すことにあります。
共働き家計を見直す三つの方法¶
1.二つ目の収入を別口座へ移す¶
給与が入ったら、二つ目の収入の全部または一部を預金口座や投資用口座へ自動で移す方法があります。
生活費の口座に残っているお金は、使えるお金だと感じやすいものです。先に分けておけば、残った金額を基準に生活費を考えやすくなります。
ただし、投資に回す金額は、当面必要な生活資金や予定されている支出を確認して判断する必要があります。
2.昇給したときの配分ルールを決める¶
ポッドキャストでは、昇給分を次のように配分する例が示されています。
- 五〇%を貯蓄や投資へ回す
- 三〇%を将来の目的に使う
- 二〇%で現在の暮らしを少し良くする
これは一つの配分例です。大切なのは、昇給分のすべてを生活費に組み込まず、貯蓄や将来の目的にも残すことです。
3.固定費に二人分の給料を使い切らない¶
家、車、教育、保険などの契約をする前に、「片方の収入だけでも維持できるか」を確認します。
難しい場合は、次のような選択肢を比較できます。
- 少し小さい家や古い家を選ぶ
- 駅や中心部から離れた地域を検討する
- 車を所有せず、必要なときだけ別の移動手段を使う
- 教育費を家計全体とのバランスで考える
- 在宅勤務ができるなら、住む場所を見直す
固定費は、いったん増やすと簡単には下げられません。契約する前に、現在の収入ではなく、収入が減った場合を基準に考えることが重要です。
自分の家計を確認するための質問¶
銀行アプリや家計簿を開き、次の質問を確認してみましょう。
- 片方の収入がなくなったら、何か月暮らせるか
- 住宅費や車など、すぐには減らせない支出はいくらか
- 保育、通勤、外食など、共働きを続けるために増えた支出はいくらか
- 二つ目の収入から、それらを引いたあとにいくら残るか
- 昇給分が生活費の増加に消えていないか
- 毎月、将来のために分けられているお金はあるか
見るべきなのは、世帯年収の大きさだけではありません。毎月いくら残り、収入が減ったときにどの程度の選択肢を保てるかです。
共働き家計に関するFAQ¶
共働きなのに貯金できないのは浪費が原因ですか?
浪費だけが原因とは限りません。住宅費や車、教育費などの固定費に加え、保育、通勤、外食、家事代行など、共働きを維持するための支出が増えている場合があります。支出を「生活そのもの」と「働くための費用」に分けて確認すると、原因を把握しやすくなります。
二つ目の収入はすべて貯金するべきですか?
すべての家庭に同じ方法が適しているわけではありません。まずは固定費や必要な生活費、近い将来の支出を確認し、無理のない範囲で二つ目の収入の一部を先に分ける方法を検討できます。
一人分の給料で生活できない場合はどうすればいいですか?
すぐに達成できなくても、二人分の収入をすべて固定費に組み込まないことから始められます。住居費、車、保険、通信費などを確認し、二つ目の収入から一定額を残せる家計へ段階的に近づける考え方があります。
共働きの「疲労税」とは何ですか?
制度上の税金ではありません。共働きによる時間不足や疲れを補うために増える、外食、デリバリー、家事代行、調理済み食品、クリーニングなどの支出を表した言葉です。
貯金と投資はどちらを優先すればよいですか?
この記事の考え方では、まず収入が止まったときに使える生活防衛資金を確認することが重要です。そのうえで、当面使う予定のないお金について、預金と長期投資の役割を分けて考えます。投資には元本割れを含むリスクがあるため、家計状況に応じた判断が必要です。
まとめ|収入額ではなく、家計に残るお金を見る¶
共働きの収入が家計の安全網になるかどうかは、二つ目の収入を固定費に使い切っているかで変わります。
覚えておきたい判断ポイントは、次のとおりです。
- 世帯収入ではなく、固定費と毎月残る金額を見る
- 共働きを続けるための費用も差し引く
- 片方の収入が止まった場合に何か月暮らせるか確認する
- 昇給分をすべて生活費に組み込まない
- 家や車などの契約前に、収入が減った場合を考える
- 二つ目の収入の一部を将来のために先に分ける
使わずに残したお金は、預金残高を増やすだけのものではありません。病気のときに休む、働き方を変える、家族との時間を優先するといった、将来の選択肢につながります。
まずは銀行アプリを開き、収入ではなく固定費を確認してみてください。少し不安な数字が出ても、家計の構造に気づけば、これからの方向を考えられます。
「ファイナンスおばさん・ななみ」 を購読し、共働き家計や固定費の見直しに役立つお金の考え方をこれからもチェックしてみてください。
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ご注意
本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。



