お金を増やす仕組みの作り方|節約だけに頼らない家計と資産形成

はじめに¶
毎日きちんと働いているのに、お金の不安が消えない。銀行口座の残高や株価が気になり、家に帰っても落ち着かない——そんな状態になっていないでしょうか。
収入を増やそうとして、さらに長く働くことだけが解決策とは限りません。また、食事や交際を極端に我慢する節約も、長く続かなければ家計の改善にはつながりにくいでしょう。
考えたいのは、毎回の意志や気分に頼らず、給料が入ったら貯蓄や投資へ自動的にお金が動く仕組みです。
この記事では、次の内容を順番に整理します。
- 自分にとっての経済的自由を決める
- 予算を「我慢」ではなく「地図」として使う
- 貯金と投資を自動化する
- 投資の前に緊急予備資金を用意する
- 高金利の借金を優先して整理する
- 複利と分散を生かして長期的に資産を育てる
特定の方法がすべての人に当てはまるわけではありません。収入、生活費、年齢、家族構成、値下がりへの耐性を踏まえ、自分に合う形を考えていきましょう。
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お金を増やす前に「何のためか」を決める¶
資産形成を始めるとき、いきなり投資商品を探す必要はありません。最初に考えたいのは、自分にとって経済的自由とは何かということです。
たとえば、次のような目的が考えられます。
- 仕事を失っても、しばらく慌てずに暮らせる状態にする
- 将来、仕事を辞める時期を自分で選べるようにする
- 家賃収入など、労働以外の収入源を持つ
- お金の心配を減らし、家族や自分のための時間を増やす
50歳で仕事を辞めたいなら、必要な金額は3,000万円なのか、6,000万円なのか。目指す暮らしによって、必要な資金も取るべき行動も変わります。
目的が曖昧なままだと、相場が上がったと聞けば株を買い、金が上がったと聞けば金へ移るなど、周囲の情報に振り回されやすくなります。まずは「いつまでに、どのような状態になりたいか」を言葉にしてみましょう。
節約だけに頼る家計管理が続きにくい理由¶
浪費を避けることは大切です。しかし、少額の支出まで常に見張り、外食や楽しみをすべて断つような生活には限界があります。
何か月も我慢した反動で、スマートフォンや旅行にまとまったお金を使ってしまえば、せっかくの貯金を取り崩すことになります。
そこで必要なのが、欠乏だけに目を向けない考え方です。
毎日200円の飲み物を我慢する方法だけでなく、自分の知識や経験を生かして、2,000円や2万円の追加収入を作れないか考える。すべての支出を削るのではなく、お金を生み出す資産や仕組みにも意識を向けます。
これは「好きなだけ使ってよい」という意味ではありません。生活の満足度を大きく下げる節約に偏らず、支出管理と収入・資産形成を組み合わせるということです。
予算は自由を奪う手錠ではなく、お金の行き先を示す地図¶
予算と聞くと、細かな支出を厳しく管理するイメージがあるかもしれません。しかし、予算の本来の役割は、お金の行き先を先に決めることです。
- 家賃や生活費に使うお金
- 貯蓄へ回すお金
- 投資へ回すお金
- 自由に使うお金
それぞれをあらかじめ分けておけば、月末になってから「お金がどこへ消えたのか」と悩みにくくなります。必要な支出を確保したうえで自由に使える金額が分かるため、罪悪感を抑えながらお金を使えることも利点です。
ただし、野菜一つまで毎日記録するような細かすぎる方法は、負担になって続かない場合があります。疲れているときでも維持できる、簡単な管理方法を選ぶことが重要です。
家計管理を自動化して意志の力に頼らない¶
貯金を「余裕がある月だけ行う」状態にすると、支出が増えた月には積み立てられません。そこで活用したいのが、給料日に合わせた自動振替です。
給料が入ったら、使い道に迷う前に次の口座へお金を移します。
- 緊急予備資金の口座
- 投資用の口座
- 老後資金を準備する口座
残った金額で暮らす仕組みにすれば、毎月「今月こそ貯金しよう」と決意し直す必要がありません。
手取り12万円の場合の例¶
原稿では、月の手取りが12万円の人について、次の例が示されています。
- 緊急予備資金へ1万2,000円
- NISA口座などの長期投資へ1万8,000円
- 合計3万円を自動で移す
- 残る9万円で生活する
この場合、1年間で積み立てる元本は36万円です。5年間では元本が180万円となり、預金金利や投資の運用結果によっては200万円前後になる可能性がある、という例です。
ただし、9万円で暮らせるかどうかは家賃や居住地域などによって異なります。また、投資部分の元本や利益は保証されません。この金額をそのまままねるのではなく、必要な生活費を確認したうえで、無理なく続けられる金額を設定してください。
投資より先に緊急予備資金を準備する¶
資産形成を急ぐあまり、手元のお金をほとんど投資へ回してしまうのは注意が必要です。病気やけが、家電やパソコンの故障、家族の事情など、生活では突然の支出が発生します。
現金がなければ、相場が下がっているときに株や金を売ったり、高金利の借入れを利用したりすることになりかねません。
緊急予備資金は、単に使わない現金ではありません。予期しない支出に対応し、投資資産を慌てて売らずに済むようにする安全網です。
原稿では、次の順番が一例として挙げられています。
- まず12万円を目標にする
- 次に生活費の3か月分を用意する
- すぐに引き出せる安全な口座に置く
毎月の生活費が6万円なら、3か月分は18万円です。ただし、必要な金額は仕事の安定性や家族構成などでも変わります。12万円や3か月分は、すべての人に共通する絶対的な基準ではなく、準備を始める際の一例として考えましょう。
高金利の借金がある場合は返済の優先順位を決める¶
リボ払いやカードローンなどの高金利の借金は、資産形成を妨げる大きな要因になります。
たとえば、買い物や旅行によるクレジットカード残高が60万円あり、年15%前後の手数料率が設定されているケースを考えます。毎月最低限の金額だけを返すと、返済条件によっては5年間で20万円から30万円ほどの手数料を支払う場合があります。
一方、投資には元本割れの可能性があり、利益は確定していません。借金の負担を抱えたまま投資収益で上回ろうとするより、まず高金利の借金を整理するという考え方があります。
金利の高い借金から返す「デット・アバランチ」¶
デット・アバランチは、金利の高い借金から優先的に返す方法です。
- すべての借金を書き出す
- 金利の高い順に並べる
- それ以外は最低限必要な返済を続ける
- 余裕資金を最も金利の高い借金へ集中させる
この方法は、支払う利息を抑えやすいのが特徴です。返済条件や家計状況によって適切な対応は異なるため、返済が難しい場合は一人で抱え込まず、適切な相談先を利用することも検討してください。
複利はお金だけでなく時間を使う仕組み¶
緊急予備資金を準備し、高金利の借金を整理したら、長期的な資産形成を考えます。
複利とは、元本から生まれた利益を再投資し、その利益がさらに利益を生む仕組みです。最初は小さな雪玉でも、長く転がすほど周囲の雪を巻き込んでいくイメージです。
原稿では、年6%の平均リターンを仮定した次の例が紹介されています。
- ユウタさん:25歳で120万円を投資し、55歳まで保有
- ケンジさん:35歳で120万円を投資し、55歳まで保有
同じ条件で計算すると、55歳時点でユウタさんは約690万円、ケンジさんは約385万円です。始めた時期の10年の違いによって、約300万円の差が生じる計算になります。
これはあくまで年6%を仮定した試算です。毎年6%増えるわけではなく、実際の市場には上昇する年も下落する年もあります。将来の運用結果を保証する数字ではありません。
大切なのは、短期間で値上がりする銘柄を当てることだけでなく、時間を味方につける視点です。
長期分散投資で日々の値動きに振り回されにくくする¶
個別株を選び、毎日株価を確認し、頻繁に売買しても、利益が出るとは限りません。SNSなどで得た情報を信じ、高値で買ってしまう可能性もあります。
できるだけ手間を抑えたい場合は、一つの銘柄を当てようとするのではなく、市場全体へ広く投資する考え方があります。
例として、TOPIXや日経平均株価などの指数に連動するインデックスファンドやETF、世界の株式へ分散するインデックスファンドなどが挙げられます。NISA口座を使って積み立てる方法も選択肢の一つです。
ただし、インデックス投資であっても値下がりや元本割れはあります。すぐに必要になる生活資金を投資せず、長期で保有できる資金を使うことが前提です。
配当や家賃収入も「仕組み」の一つ¶
労働時間だけに収入を頼らず、資産から収入を得る方法として、株式の配当や不動産の家賃収入があります。
仮に120万円を配当株へ投資し、配当利回りが年2%から4%なら、年間の配当は約2万4,000円から4万8,000円です。受け取った配当を再投資すれば、新しく購入した株式からも配当が生まれる可能性があります。
ただし、配当は保証されておらず、企業の業績によって減配や無配になる場合があります。
不動産にも家賃収入の可能性がありますが、物件購入には資金が必要です。修繕、入居者募集、契約、家賃滞納への対応などもあり、完全に何もしなくてよい収入ではありません。
「不労所得」という言葉だけで判断せず、必要な資金、手間、損失の可能性を確認する必要があります。
資産を一つに集中させず、それぞれに役割を持たせる¶
貯金をすべて株式へ移す、全財産を不動産へ入れるなど、一つの資産への集中は、値下がりしたときに生活全体へ影響します。
分散では、資産ごとに異なる役割を持たせます。
- 預金:緊急時や近い将来の支出に備える
- 株式:値動きを受け入れながら長期的な成長を目指す
- 債券や定期預金:比較的守りを重視する
- 不動産や金:特徴の異なる資産として検討する
原稿では、20代から30代なら株式を70%から80%とする積極的な考え方、50代から60代なら資産の50%を個人向け国債や定期預金などへ置く考え方が例示されています。
これらは推奨配分ではありません。年齢だけでなく、収入、家族構成、資金を使う時期、下落時にも保有を続けられるかによって適切な割合は変わります。
税制・手数料・インフレも資産形成に影響する¶
資産を育てる際は、運用結果だけでなく、税金や手数料、物価上昇による影響も考える必要があります。
原稿で挙げられているNISAは、一定の範囲で投資による利益が非課税になる制度です。iDeCoは老後資金を積み立てながら、税負担の軽減につながる場合がある仕組みです。
制度の内容や利用条件は変わる可能性があるため、利用前に最新の公式情報を確認してください。
また、頻繁に売買すると、取引のたびに手数料や税金が発生する場合があります。長期保有は、売買回数を抑えることでコストを減らしやすい方法です。
一方、緊急予備資金は現金で確保する必要がありますが、必要以上の現金を長く保有すると、物価上昇によって実質的な購買力が下がることもあります。近く使うお金と、長期間使う予定のないお金を分け、目的に応じて置き場所を考えましょう。
お金を増やす仕組みに関するFAQ¶
お金を増やすには、節約と投資のどちらが先ですか?
まず家計の収支を把握し、緊急予備資金を準備することが大切です。高金利の借金がある場合は、その返済を優先する考え方があります。そのうえで、すぐに使わない資金を長期投資へ回す順番を検討できます。
貯金が続かない場合はどうすればよいですか?
給料日に自動振替を設定し、先に貯蓄用口座へ移す方法があります。毎月の気分や意志に頼らず、残った金額で暮らせるようにするのがポイントです。ただし、生活を圧迫しない金額から始めてください。
緊急予備資金はいくら必要ですか?
原稿では、まず12万円、その後に生活費3か月分を目指す例が示されています。ただし、仕事の安定性、扶養家族、毎月の固定費などによって必要額は異なります。
インデックス投資なら損をしませんか?
いいえ。市場全体へ分散しても、価格の下落や元本割れはあります。短期的な値動きではなく長期で考え、生活費や緊急予備資金を投資しないことが重要です。
配当や家賃収入は完全な不労所得ですか?
完全に何もしなくてよいとは限りません。配当には減配や無配の可能性があり、不動産には修繕や入居者対応などの手間があります。収入だけでなく、費用とリスクも含めて判断する必要があります。
まとめ|お金の不安を減らすには、意志より仕組みを使う¶
お金を増やすために、生活や家族との時間をすべて犠牲にする必要はありません。大切なのは、一時的な我慢や一発逆転ではなく、無理なく続けられる仕組みを作ることです。
覚えておきたい判断ポイントは次のとおりです。
- 自分にとっての経済的自由を明確にする
- お金の行き先を予算で先に決める
- 給料日に貯蓄や投資を自動化する
- 投資前に緊急予備資金を用意する
- 高金利の借金は優先順位を決めて返す
- 複利を生かすため、長期的な視点を持つ
- 一つの資産へ集中せず、目的に応じて分散する
- 税制、手数料、インフレによる影響も確認する
本当の豊かさは、見せるための高級品を持つことだけではありません。安心して眠り、大切な人と過ごし、明日の行動を自分で選べることも豊かさの一部です。
まずは、自動振替を設定する、緊急予備資金の口座を分ける、借金の金利と残高を書き出すなど、小さな行動から始めてみてください。
「ファイナンスおばさん・ななみ」 では、家計や資産形成について、無理なく考えるためのヒントを紹介しています。今回の内容を音声でも確認したい方は、番組のフォローもご検討ください。
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ご注意
本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。



