賃貸と持ち家はどっちが得?維持費・資産形成・自由度で比較

はじめに¶
「家賃は捨てるお金だから、早く家を買ったほうがいい」と言われ、不安になったことはありませんか。周囲が住宅を購入すると、自分だけ人生に遅れているように感じる人もいるでしょう。
しかし、賃貸と持ち家の比較は、家賃と住宅ローン返済額だけでは判断できません。持ち家には利息や修繕費などがあり、賃貸には頭金や住居費の差額を別の資産形成に回せる可能性があります。
この記事では、賃貸と持ち家はどっちが得なのかを、住居費、機会費用、流動性、家計の安全性という視点から考えます。
ななみがこのテーマをどのような言葉や具体例で語っているかは、下のYouTube動画で見ると、よりイメージしやすいかもしれません。記事とあわせて、自分の住まいについて考える材料にしてください。
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「家賃はもったいない」だけでは比較できない¶
家賃を払っても、住んでいる部屋は自分のものになりません。一方、住宅ローンを返済すると、元金を返した分だけ住宅に対する自分の持ち分が増えていきます。
この点だけを見れば、持ち家のほうが得に思えます。しかし、住宅ローンの返済額がすべて資産になるわけではありません。
持ち家では、主に次のような費用を負担します。
- 住宅ローンの利息
- 管理費・修繕積立金
- 建物や設備の修繕費
- 固定資産税
- 火災保険などの保険料
- 駐車場代
- 設備交換や内装の劣化に備える費用
家賃は、戻ってこないことが分かりやすい支出です。持ち家の戻ってこない費用は、複数の項目に分かれているため、見えにくいという違いがあります。
どちらにも、自分の資産として残らない住居費があります。比較すべきなのは、家賃を払うかどうかではなく、戻ってこない費用を含めた総額と、最終的に手元へ何が残るかです。
住宅ローン返済額のすべてが資産になるわけではない¶
原稿で示された条件を使って考えてみましょう。
六千万円の住宅を購入し、銀行から五千二百二十万円を借りるとします。返済期間は三十年、金利は長期固定型を意識して年二パーセント程度とすると、毎月の返済額はおよそ十九万円です。
ただし、返済開始直後の一か月では、およそ八万七千円が利息で、元金返済に回るのはおよそ十万六千円です。十九万円の全額が、自分の資産として積み上がるわけではありません。
さらに、住宅の維持費を物件価格の年一パーセントほどと仮定すると、六千万円の住宅では年間六十万円、月にならすと五万円です。ここに税金や保険などが加わるため、ローン返済が十九万円でも、実際の住居費は二十数万円になる可能性があります。
もちろん、実際の金利や維持費は物件と契約条件によって異なります。それでも、「住宅ローン返済は全額が自分への積み立て」という捉え方では、実際の負担を見落としてしまいます。
賃貸と持ち家の差額には「機会費用」がある¶
住宅を購入する場合、頭金や毎月の住居費にまとまったお金を使います。そのお金を別の用途に回した場合に得られたかもしれない価値が、機会費用です。
たとえば、ほぼ同じ条件の部屋に住む二人がいるとします。
- 賃貸を選んだ人:毎月十五万円
- 購入を選んだ人:ローン、管理費、修繕費などで毎月三十万円
- 毎月の差額:十五万円
賃貸を選んだ人が、この十五万円を三十年間投資し、世界中の株式などへ分散するインデックスファンドで名目年六パーセントの運用が続いたと仮定すると、三十年後はおよそ一億五千万円になります。
ただし、年六パーセントの利回りは保証されていません。値下がりする時期もあり、実際の結果は異なります。ここでのポイントは将来の金額を断言することではなく、毎月の差額にも資産へ成長する可能性があるということです。
一方、住宅価格が上がった場合でも、その価値を自由に使うには、基本的に住宅を売却する必要があります。値上がりした住宅を担保に追加で借りれば現金は得られますが、それは新たな借金を作ることでもあります。
住宅価格の上昇と、自由に使えるお金が増えることは、分けて考える必要があります。
賃貸で資産形成するには「差額を残す仕組み」が必要¶
賃貸を選べば、自動的に資産が増えるわけではありません。
先ほどの比較が成り立つのは、住居費の差額を使い切らず、実際に積み立てられた場合だけです。外食や買い物などにすべて使ってしまえば、賃貸の費用が安くても金融資産は増えません。
持ち家には、住宅ローンを毎月返すことによる「強制的な貯蓄」という面があります。返済を気分で休むことはできないため、半ば強制的に元金を積み上げることになります。
賃貸で資産形成を目指すなら、自由を浪費へ変えない工夫が必要です。
- 給料日に自動積立を設定する
- 生活費と投資資金の口座を分ける
- NISA口座でインデックスファンドを積み立てる
- 差額のすべてではなく、生活の余裕を残して継続可能な額を決める
投資には価格変動がありますが、先取りで積み立てる仕組みを作れば、住居費の差額を資産形成へ回しやすくなります。
持ち家が家計の重荷に変わるケース¶
家を買えることと、無理なく持ち続けられることは別です。
原稿に登場する共働き夫婦の例を見てみましょう。二人の額面収入は合わせて月六十万円で、四千二百万円から四千八百万円ほどのマンションを購入しています。
手取りはおよそ五十一万円で、毎月の支出は次のとおりです。
- 住宅ローン、管理費、駐車場代など:二十七万円
- 車の維持費・交通費:六万円
- 子ども二人の教育費:十二万円
- 食費・外食費:九万円
- 親への援助・冠婚葬祭など:三万円
合計は五十七万円となり、毎月六万円不足します。
外からは裕福に見えても、家計には余裕がありません。修理などの突発的な支出をカードで補い、旅行は賞与頼みになり、緊急資金を増やすことも難しくなります。
仮に五年間の返済で元金が四百万円ほど減ったとしても、その間に三百万円を超える利息を払っている可能性があります。管理費、修繕費、税金も別に必要です。
住宅価格からローン残高を引いた自己資本は資産ですが、預金のように明日すぐ使えるわけではありません。自己資本だけを見て「四百万円貯まった」と考えると、そこまでに負担した費用が抜け落ちてしまいます。
失業や転職で分かる「流動性」の価値¶
持ち家と賃貸の大きな違いは、生活環境が変わったときの動きやすさです。
先ほどの夫婦で、どちらかが失業して月二十四万円の収入がなくなり、緊急資金が八週間分しかなければ、家計は早い段階で行き詰まるおそれがあります。
住宅ローンの返済は、収入が減っても簡単には下がりません。延滞が続けば信用情報に影響し、最終的には住宅を手放す可能性もあります。
賃貸にも契約条件や引っ越し費用はありますが、より家賃の安い部屋や、駅から離れた地域へ移ることで固定費を下げられます。購入した住宅は、必要になったからといって簡単に小さくできません。
流動性とは、単なる引っ越しやすさではありません。
- 転職や異動に合わせて住む場所を変える自由
- 新しい仕事へ挑戦する自由
- 収入が減ったときに暮らしを縮小する自由
- 家族の事情に応じて生活環境を変える自由
住宅に大きなお金を固定すると、事業や学び直しに使う資金など、別の選択肢を諦めることがあります。こうした自由の価値も、住宅購入の判断材料です。
賃貸と持ち家を数字で比較する方法¶
自分に合う答えを出すには、表計算ソフトなどを使い、賃貸と購入の費用を同じ条件で並べてみましょう。
賃貸側に入れる項目¶
- 現在または検討中の家賃
- 頭金として用意している金額
- 購入した場合との毎月の住居費差
- 頭金と差額を運用した場合の試算
購入側に入れる項目¶
- 住宅ローンの元金
- 住宅ローンの利息
- 管理費・修繕積立金
- 固定資産税
- 保険料
- 駐車場代
- 建物や設備の修繕・交換費用
- 売却する場合の住宅価格
十年後、二十年後、三十年後をそれぞれ計算します。住宅価格は上がる場合だけでなく、変わらない場合も試します。投資の利回りも、一つの前提に固定せず、低くなった場合を確認しておくことが大切です。
さらに、次の点も確認しましょう。
- 同じ住宅や地域に何年住む予定か
- 転職や失業が起きても支払いを続けられるか
- 購入後も緊急資金を確保できるか
- 維持費まで含めても家計に余裕があるか
- 賃貸を選んだ場合に差額を積み立てられるか
「家賃はもったいない」という言葉ではなく、自分の家計の数字を判断材料にします。
家を買うことが選択肢になる条件¶
ここまでの内容は、「一生家を買わないほうがよい」という意味ではありません。
次のような条件なら、住宅購入を検討する意味があります。
- 十年以上、同じ地域に住む予定がある
- 収入に十分な余裕がある
- 緊急資金を確保したうえで返済できる
- 税金や修繕費を含めても家計が苦しくならない
- 転職や家族構成の変化を想定している
- 自分好みの住空間や、長く住める安心に価値を感じる
持ち家には、自分好みの空間を作れることや、引っ越しを繰り返さずに済むことなど、数字だけでは測れない価値もあります。
一方、現在の収入では余裕がないのに、世間体だけで長期の住宅ローンを組むのは慎重に考える必要があります。金融機関から借りられる金額と、生活の変化があっても無理なく返し続けられる金額は同じとは限りません。
賃貸と持ち家に関するFAQ¶
賃貸は家賃を捨てていることになりますか?
家賃を払っても住宅の所有権は得られません。ただし、持ち家にもローン利息、修繕費、税金、保険など、自分の資産として残らない費用があります。戻ってこない費用の総額で比べることが大切です。
住宅ローンは資産形成になりますか?
元金を返済した部分は、住宅に対する自己資本になります。一方、利息や維持費は資産として残りません。また、住宅の自己資本は預金のようにすぐ使えるものではない点にも注意が必要です。
賃貸で資産形成するにはどうすればよいですか?
購入した場合との住居費差を把握し、その一部を給料日に自動で積み立てる方法があります。生活費と積立資金を分け、使う前に確保する仕組みが重要です。投資をする場合は、価格変動があることも踏まえて判断します。
頭金を投資に回したほうが得ですか?
将来の運用結果は保証されないため、一律には判断できません。住宅購入による安心や維持費、投資の価格変動、必要な緊急資金を含め、自分の条件で複数のケースを試算する必要があります。
持ち家で特に注意したいことは何ですか?
ローン返済額だけで購入可能性を判断しないことです。管理費、修繕費、税金、保険、設備交換などを含め、失業や収入減少が起きても持ち続けられるかを確認しましょう。
まとめ¶
賃貸と持ち家はどっちが得かという問いに、すべての人へ共通する答えはありません。覚えておきたい判断ポイントは、次のとおりです。
- 家賃にも持ち家にも、戻ってこない費用がある
- 住宅ローン返済額のうち、資産になるのは元金部分
- 頭金と毎月の差額には機会費用がある
- 賃貸で資産形成するには、差額を積み立てる仕組みが必要
- 住宅の自己資本と、すぐ使える預金・金融資産は性質が異なる
- 転職、失業、家族の変化に対応できる流動性も重要
- 借りられる金額ではなく、無理なく持ち続けられる金額で考える
家を所有することが自分に合う人もいれば、賃貸を続けながら金融資産と自由を確保するほうが合う人もいます。周囲の価値観ではなく、利息、維持費、機会費用、緊急時の対応力まで含めて判断しましょう。
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エピソードを視聴する¶
ご注意
本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。



