コンテンツにスキップ

昇給しても貯金できないのはなぜ?生活水準と固定費の見直し方

麻衣さんの手取りと毎月の支出を比較した家計表

はじめに

昇進して給料が上がったのに、貯金は増えず、スーパーで買う物に迷ってしまう。そんな状況の背景には、浪費だけではなく、手取りと額面の混同や固定費の増加、急な出費に備える現金の不足が隠れていることがあります。この記事では、昇給しても貯金できない理由と、家計を立て直すための判断ポイントを考えます。

ななみが、この見えにくい「お金の罠」を実際にどのような言葉で語っているかは、YouTube動画でもご覧いただけます。具体例の流れや感情の変化も含めて理解したい方は、記事とあわせて動画もご活用ください。

YouTubeで最新エピソードをいち早くお届けします!
今すぐチャンネル登録を

チャンネル登録

※登録確認画面(ポップアップ)が表示されます

またはフォロー:

昇給しても貯金できない麻衣さんの家計

今回の例は、マーケティングチームのリーダーに昇進した28歳の麻衣さんです。月給は21万円になり、学生時代のように給料日まで安い食事でしのぐ暮らしは終わったと思っていました。

ところが、ある日の銀行口座の残高は2,700円。クレジットカードの利用残高は30万円あり、4日後には家賃の支払いも控えています。

麻衣さんは高級品や海外旅行にお金を使ったわけではありません。車の整備、飼い猫の診療、結婚式、エアコンの修理など、日常生活で起こり得る支出が重なっていました。

問題は、それらを現金で受け止められる余裕が家計になかったことです。

額面ではなく手取りで生活を設計する

最初の落とし穴は、額面の給料をそのまま使える金額だと考えてしまうことです。

麻衣さんの月給は21万円ですが、社会保険料や税金などが引かれた手取りは、およそ17万4,000円という想定です。差額は毎月3万6,000円、1年間では43万2,000円になります。

税金や社会保険にはそれぞれ役割があります。家計上の問題は、これらを考慮せず、月給21万円を基準に家賃や買い物の水準を決めてしまうことです。

さらに、月給が21万円から22万8,000円へ上がったとしても、手取りが額面と同じ1万8,000円増えるとは限りません。このケースでは、実際に増える手取りをおよそ1万2,000円と想定しています。

それにもかかわらず、22万8,000円という額面を見て生活水準を上げると、収入の増加以上に支出が膨らむ可能性があります。

なお、実際の手取りは税金や社会保険、扶養状況などによって異なります。家計を組む際は、一般的な金額ではなく、自分の給与明細に記載された振込額を確認することが出発点です。

月9,000円の余裕では急な出費に対応しにくい

麻衣さんの手取り17万4,000円に対し、毎月の支出は次のようになっています。

支出項目 月額
家賃 5万1,000円
自動車ローン 3万円
ガソリン・駐車場・高速料金など 9,000円
食費 2万7,000円
実家への仕送り 1万8,000円
水道光熱費・通信費・管理費など 9,000円
生命保険・自動車保険 9,000円
昼食・最低限の交際費 1万2,000円
合計 16万5,000円

残るのは月9,000円です。1日あたりでは300円しかありません。

この9,000円から、衣類、日用品、化粧品、娯楽、急な出費、将来のための貯蓄まで用意する必要があります。車や家電が壊れず、病気にもならない月なら成り立っても、何か一つ起きれば赤字になりかねません。

麻衣さんは最初の月に6,000円を貯金しました。しかし、その後は以下の出費が続きます。

  • 車の整備とタイヤ交換:2万7,000円
  • 猫の検査費用:1万8,000円
  • 結婚式のご祝儀と交際費:2万1,000円
  • エアコン修理:9,000円
  • 家族への追加仕送り:毎月9,000円
  • 車検関連費用と保険更新:1万5,000円

さらに病気で仕事を休み、収入の一部が減った月もありました。その結果、カード残高は年末に25万2,000円まで増えます。

これらは毎月発生する支出ではありませんが、長く生活していれば起こり得るものです。「臨時出費」として無視するのではなく、家計の中に受け皿を用意しておく必要があります。

カード払いが家計の不足を見えにくくする

急な出費をカードで支払うと、その場は乗り切れます。しかし、翌月の生活費に余裕がなければ、返済のために再びカードを利用する循環に入りかねません。

日本のクレジットカードのリボ払いやキャッシングでは、年15%から18%程度の手数料や金利が設定される場合があります。仮に年18%なら、25万2,000円の残高に対する負担は、単純計算で月3,700円を超えます。

最低支払額だけを払い続けると、支払っているのに元金が思うように減らないこともあります。

麻衣さんの問題は、ぜいたく品を大量に買ったことではありません。家計の余白が小さく、普通の出来事をカードで先送りしていたことです。

カード残高がある場合は、次の点を確認する必要があります。

  • 毎月の支払額のうち、元金はいくら減っているか
  • 適用されている手数料や金利はどの程度か
  • カードを使わずに今月の生活費を払えるか
  • 返済中に新たな残高を増やしていないか

家計の赤字をカードで埋めている場合、節約項目を探すだけでなく、固定費を含めた生活設計そのものを見直す必要があります。

ライフスタイルインフレーションが昇給分を上回る

麻衣さんの給料は、月15万円から21万円へ増えました。額面では6万円、手取りでは約4万2,000円増えた想定です。

そこで麻衣さんは、生活を少しずつ良くしました。

  • セキュリティの良い部屋への引っ越し:月1万5,000円増
  • バイクからローンで購入した小型車へ変更:月2万4,000円増
  • 通信プランの変更:月600円増
  • ジム:月4,800円増
  • 食材へのこだわり:月9,000円増
  • 動画・音楽の定額サービス:月1,500円増

合計すると、毎月5万4,900円の増加です。

手取りは約4万2,000円しか増えていないのに、生活費は5万4,900円増えています。昇給前より家計が苦しくなるのは不思議ではありません。

このように、収入の増加に合わせて家や車、食事、サービスの水準が上がることを、ライフスタイル・インフレーションと呼びます。

生活を良くすること自体が悪いわけではありません。重要なのは、一度上げた支出を毎月払い続けられるか、病気や減収があっても維持できるかを確認することです。

特に家賃、ローン、通信契約、保険、定額サービスなどは、何もしなくても支払いが続きます。昇給時には「何を買えるか」より先に、「どこまで固定費を増やしてよいか」を考える必要があります。

ローン審査の承認は「無理なく払える」の保証ではない

麻衣さんには、月9万円ほどを返済する住宅ローンの提案が届きました。郊外の1,500万円ほどのマンションを想定し、借入額は約1,200万円です。

しかし月9万円は、月給21万円の4割を超え、手取り17万4,000円の半分以上に相当します。

住宅を所有すると、ローン以外にも管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、引っ越し費用、家具や設備の費用などが発生します。

金融機関の審査に通ることと、貯蓄を続けながら余裕を持って返済できることは同じではありません。審査では返済可能性が判断されても、病気、転職、家族への支援、将来の生活設計まで保証されるわけではないからです。

原稿では、一つの考え方として、提示された返済額に0.6を掛ける方法を挙げています。月9万円を提示された場合は5万4,000円です。

ただし、これはすべての人に適用できる公的な基準ではありません。実際には、収入の安定性、貯蓄、家族構成、住宅以外の支出などを含めて判断する必要があります。

「借りられる上限」ではなく、「生活防衛資金や貯蓄を確保しながら払える金額」を自分で考えることが大切です。

昇給後の家計を立て直す5つの考え方

1.給料日に貯蓄と積立を先に分ける

原稿では、麻衣さんの例として、手取りの15%を長期の積立投資、10%を生活防衛資金へ回し、残り75%で暮らす方法を示しています。

これは一つの家計例であり、誰もが直ちに25%を確保できるとは限りません。カード返済や生活費を考えると難しい場合は、家計が破綻しない範囲から始める必要があります。

ポイントは、月末に余った分を貯めるのではなく、給料日に一定額を別の場所へ移すことです。

2.まず生活防衛資金の受け皿を作る

車の整備、医療、家電の故障などは、時期を正確に予測できません。しかし、起こる可能性はあります。

こうした支出をすべてカードに頼らなくて済むよう、日常の口座とは分けて現金を確保する考え方があります。投資には元本割れの可能性があるため、近い将来に必要になるお金まで投資へ回さないことも重要です。

3.昇給してもしばらく生活費を上げない

昇給後すぐに家賃や車を変えると、増えた収入が固定費として消えてしまいます。

一定期間は昇給前の生活を続け、実際に増えた手取り額や年間の臨時支出を確認してから、生活水準を上げるか判断する方法があります。

昇給分の一部を貯蓄や積立へ回せれば、収入の増加を将来の選択肢につなげやすくなります。

4.大きな買い物は機会費用も比較する

麻衣さんの自動車ローンは月3万円です。原稿では、この3万円を年6%で5年間積み立てた場合、計算上は約210万円になるという比較をしています。

これは一定の利回りを仮定したシミュレーションであり、結果を保証するものではありません。投資では価格が下がり、元本割れする可能性もあります。

それでも、大きな買い物を「買うか、何も得ないか」で考えないことは重要です。その支出をしなかった場合、貯蓄や投資に回せる可能性も含めて比べます。

5.見栄より毎月の固定費を守る

車や住宅は、購入時の価格だけでなく、維持費やローンによって将来の収入を拘束します。

原稿では、300万円の新車をローンで購入する代わりに、30万円のバイクや120万円ほどの中古車を現金で選ぶ例を挙げています。ただし、車両の状態や安全性、必要な修理費は個別に確認しなければなりません。

大切なのは、価格の安さだけではなく、毎月の収入が過去の買い物にどれだけ使われるかを見ることです。

投資は家計を整えてから長期的に考える

原稿では、NISA口座で利用できる低コストのインデックスファンドなど、長期・積立・分散を前提とする選択肢が挙げられています。

また、月6万円を年6%で10年間積み立てた場合、計算上は約980万円になるという例もあります。ただし、年6%は仮定にすぎず、毎年安定して得られる収益ではありません。相場によって資産額は増減し、元本を下回る可能性もあります。

投資を始める前には、少なくとも次の点を分けて考える必要があります。

  • 毎月の生活に必要なお金
  • 急な出費に備える生活防衛資金
  • カードやローンの返済
  • 当面使う予定のない長期資金

将来の資産形成だけに目を向け、目の前の生活費をカードで補う状態になっては本末転倒です。投資額は家計やリスク許容度に合わせて判断し、制度や商品の最新情報も公式情報で確認しましょう。

目標は支出を増やすことではなく選択肢を増やすこと

原稿の麻衣さんは、家賃や移動手段を見直し、カード残高を返済しながら、手取りの一部を貯蓄と投資へ回す生活に切り替えます。

その過程は楽ではありません。同世代の友人が旅行や新築住宅を楽しむ姿を見れば、自分だけが遅れているように感じることもあります。

しかし、住宅ローンや自動車ローンなどの固定的な支払いが少なければ、転職、引っ越し、休養、新しい挑戦などを選びやすくなります。

原稿に示された3年後、5年後、10年後の資産額は、収入の上昇や運用成果を含む仮定のシミュレーションです。同じ結果が得られるとは限りません。

それでも、「収入が増えたら支出も同じだけ増やす」のではなく、「将来の選択肢を増やすために一部を残す」という考え方は、自分の家計にも当てはめられます。

よくある質問

昇給したのに貯金が増えないのはなぜですか?

実際に増えた手取り以上に、家賃、車、食費、定額サービスなどの支出が増えている可能性があります。まずは昇給前後の手取り額と固定費を比較してみましょう。

額面と手取りのどちらを基準に家計を組むべきですか?

実際に口座へ振り込まれる手取りを基準にします。手取りは扶養状況などでも異なるため、自分の給与明細で確認することが大切です。

住宅ローンの審査に通れば購入しても大丈夫ですか?

審査通過は、余裕のある返済生活を保証するものではありません。ローン以外の住宅費、生活防衛資金、将来の減収なども含めて判断する必要があります。

貯金と投資はどちらを先にするべきですか?

近い将来に使う生活費や急な出費への備えは、値動きのある投資と分けて考える必要があります。カード残高などがある場合は、その条件も確認し、家計全体で優先順位を決めましょう。

昇給したときに最初にすることは何ですか?

新しい生活契約を増やす前に、実際の手取り増加額を確認します。そのうえで、貯蓄、返済、生活防衛資金、長期の積立にいくら振り分けるかを考えましょう。

まとめ

昇給しても貯金できないときは、自分の意志の弱さだけを原因にする必要はありません。確認したいのは、次のポイントです。

  • 額面ではなく手取りで家計を設計する
  • 毎月の固定費が手取りの増加を上回っていないか確認する
  • 普通に起こり得る臨時出費のために現金の受け皿を作る
  • ローンの承認額を、自分が無理なく払える上限だと考えない
  • 昇給後もしばらく生活水準を上げず、増えた分の行き先を決める
  • 大きな買い物では、維持費や機会費用も比較する
  • 投資は元本割れの可能性を理解し、生活資金と分けて考える

家や車を持つことが成功の証明になるわけではありません。契約によって人生の選択肢が増えるのか、それとも将来の収入が長く拘束されるのかを考えることが大切です。

このテーマをさらに深く理解したい方は、ななみが麻衣さんの家計と心の変化を実際に語っているYouTube動画をぜひご覧ください。数字だけでは見えにくい「昇給したのに自由が減る感覚」も、ななみの語り口を通して具体的にイメージできます。

「ファイナンスおばさん・ななみ」 を購読し、昇給後の家計管理や貯金のヒントをこれからもチェックしてみてください。

エピソードを視聴する

YouTubeで完全版を見る & チャンネル登録 (YouTubeで本編を見る & チャンネル登録)
または音声のみで聴く:SpotifyAppleAmazon

ご注意

本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。