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ショッピングモール投資は儲かる?収益構造と衰退する施設の共通点

多数の店舗と来店客が行き交うショッピングモールの館内

はじめに

店舗が数多く入り、毎日たくさんの人が訪れるショッピングモール。所有すれば、テナントから毎月賃料を受け取り、安定して暮らせるように思えるかもしれません。しかし、満室に近い施設でも利益が残っていなかったり、一つの大型店の撤退をきっかけに衰退したりすることがあります。この記事では、ショッピングモール投資の収益構造とリスク、施設の価値を考えるための判断軸を解説します。

ななみがこの仕組みを実際にどのような言葉で語っているのかは、下のYouTube動画でもご覧いただけます。施設が静かに衰退していく流れを、より具体的にイメージしたい方は動画もあわせてご覧ください。

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ショッピングモール投資は「建物を貸すだけ」ではない

ショッピングモール経営は、部屋を数室貸す一般的な賃貸経営とは性格が異なります。道路や駐車場、電気、水道、空調、換気、防災設備、エレベーター、エスカレーターなどを維持しながら、多数のテナントと来店客が集まる環境を運営する必要があるからです。

いわば、小さな街を丸ごと動かすような事業です。一つの設備やテナントに問題が起きると、その影響が施設全体へ広がる可能性があります。

新たに建設する場合は、土地と建物だけでなく、各種設備や許認可の手続きも必要です。工事が一か月遅れれば費用が増える一方、開業後に十分な来店客や有力ブランドを集められる保証はありません。

では、営業中のモールを買えば安全なのでしょうか。既存施設なら、現在のテナントや売上、人の流れを確認できます。しかし、その状態が将来も続くとは限りません。

モールを取得することは、鉄骨やコンクリートだけを買うことではありません。周辺住民の購買力、ブランドの出店意欲、地域の将来性まで引き受けることだと考える必要があります。

ショッピングモールの主な収益構造

ショッピングモールには、複数の収入源があります。利益を考える際は、単純に「店舗数×賃料」だけで判断しないことが重要です。

固定賃料

基本となる収入は、テナントが区画を使うために毎月支払う固定賃料です。

ただし、広い店舗ほど高い賃料を払っているとは限りません。人通りの多い場所にある小さな店舗が、面積当たりでは高い賃料を負担する一方、スーパーや映画館などの大型店には低い賃料が設定されることがあります。

大型店は、施設へ人を呼び込む役割を担うからです。映画館へ向かう家族が途中で衣料品店や飲食店、おもちゃ店の前を通れば、周囲の店舗にも販売機会が生まれます。

つまり、所有者は大型店の賃料を抑える代わりに「人の流れ」を得て、その通り道にある小規模店から比較的高い賃料を受け取っているのです。

売上に連動する賃料

契約によっては、固定賃料に加え、店舗の売上が一定水準を超えた場合に、その一部を施設側へ支払う仕組みがあります。

この場合、テナントの売上が増えれば、モール側の収入も増えます。そのため、施設側は季節の装飾やイベント、子ども向け企画などを実施し、来店客の滞在時間や買い物の機会を増やそうとします。

にぎやかな雰囲気をつくることは、単なる演出ではありません。施設全体の売上と収入に関わる経営施策なのです。

共用部分の管理費

テナントは賃料のほかに、廊下の清掃や照明、空調、警備、エレベーター、植栽、駐車場などの費用を負担することがあります。

入居店舗が多ければ、共用部分の費用を多くの店舗で分担できます。しかし、退去が増えても建物全体の維持費は同じ割合では減りません。費用を分ける店舗が減ることで、残ったテナントの負担が重くなる場合があります。

店舗以外からの収入

モールには、駐車料金や館内広告、通路の小型区画、週末の催事、商品展示、季節限定売り場などから得られる収入もあります。

通路中央の小さな販売スペースでも、多くの来店客が通る場所なら高い価値を持つことがあります。テナントが買っているのは面積だけではなく、来店客の目に触れる機会だからです。

入居率が高くても利益が出るとは限らない

ショッピングモールの収益性を考えるとき、入居率だけを見るのは十分ではありません。ほとんどの区画に照明がついていても、施設全体では赤字ということがあります。

重要なのは、次のような中身です。

  • 各テナントが実際に支払っている賃料
  • 賃料の減額や退去に関する契約条件
  • 大型店と小規模店の構成
  • テナントの売上と集客力
  • 管理費を負担する店舗数
  • 修繕費や設備維持費
  • 借入金の返済を含む支出

広い面積を使う大型店が、低い賃料しか払っていない場合もあります。また、空室を目立たせないため、割引した条件で短期間だけ貸している可能性もあります。

シャッターが並ぶと、来店客や出店候補の企業に衰退した印象を与えます。それを避けるため、利益がほとんど出なくても区画を埋める場合があるのです。

そのため、安い契約で満室になっている施設より、多少の空室があっても、売上の強いテナントが適切な条件で入居している施設のほうが健全なケースもあります。

安い商業施設で注意したい三つの罠

購入価格が魅力的に見えるときほど、価格の安さだけで判断しないことが大切です。ショッピングモール投資では、特に三つの点を確認する必要があります。

1.以前から続く賃貸契約

スーパーや映画館、百貨店などの大型店は集客を担うため、前の所有者から安い賃料と長い契約期間を認められていることがあります。

新しい所有者は、原則としてその契約条件を引き継ぐことになります。取得した直後に、自由に賃料を引き上げられるとは限りません。

現在の賃料収入だけでなく、契約期間や更新条件、減額に関する条項まで確認する必要があります。

2.先送りされた修繕

古い屋根や空調、配管、駐車場、エレベーター、電気設備の問題は、内見や収支表だけでは見えにくいものです。

購入した時点で設備が動いていても、劣化が進んでいる可能性があります。取得後に大規模な空調設備の交換や重大な故障が起きれば、数か月分の賃料収入が一度に消えることもあります。

表面上の購入価格が安くても、必要な修繕まで含めれば負担が大きい場合があるため、建物と設備の状態を分けて考えることが重要です。

3.大型店の営業を前提とする契約条項

小規模なテナントの契約には、スーパーや映画館など、特定の大型店が営業していることを条件とする条項が含まれる場合があります。

大型店が閉店すると、小規模店が賃料を減額できたり、短期契約へ変更できたり、違約金を抑えて退去できたりする可能性があります。

購入時点では入居率が高くても、大型テナントの撤退後に複数の問題が同時に表面化することがあるのです。

大型テナントの撤退が衰退の連鎖を生む

スーパー、映画館、百貨店などの大型テナントは「アンカーテナント」とも呼ばれ、モールへ人を引き寄せる役割を持ちます。

大型店が撤退すると、失われるのは一店舗分の賃料だけではありません。来店客が減り、周囲の店舗の売上も落ちます。その結果、賃料の減額要求や契約終了、さらなる退去が起こる可能性があります。

空室が増えても、照明や警備、空調、防災設備、保険、税金、点検などの費用は簡単にはなくなりません。費用を負担するテナントが減れば、残った店舗の負担が増えます。

すると、小規模店は「お客さんと売上は減ったのに、負担は増えた。この場所に残る意味があるのか」と考えるようになります。さらに退去が進むことで、次の循環が生まれます。

  1. 大型テナントが撤退する
  2. 来店客が減る
  3. 小規模店の売上が落ちる
  4. 賃料減額や退去が増える
  5. 費用を分担する店舗が減る
  6. 残った店舗の負担が増える
  7. さらに退去が進む

モールは閉鎖日に突然価値を失うのではありません。人の流れとテナントが少しずつ失われ、収入を生む資産から、費用を吸収する巨大な建物へ変わっていきます。

ローリング・エーカーズ・モールが示す不動産投資のリスク

アメリカ・オハイオ州にあったローリング・エーカーズ・モールは、商業施設の衰退を示す例です。

一九七〇年代に開業し、最盛期には百を超える店舗、複数の百貨店、映画館、フードコートを持つ地域の買い物の中心地でした。しかし、近隣に新しいモールができ、大型店の移転や閉店が重なります。

来店客が減ると、残った店舗の売上も低下し、空き区画がさらに増えました。かつて数十億円の価値があった施設は、数億円規模で売買されるまでに値下がりしましたが、テナントの流出は止まりませんでした。

最終的に商業区画は閉鎖され、残った大型店も一つずつ営業を終えます。無人になった建物では、電線や銅管などが持ち去られ、壊れた天窓から雨や雪が入り、劣化が進みました。

その後、自治体が土地を引き取り、モールは解体されました。跡地には物流施設が建てられています。

この例が示すのは、ある年に満室だったことが将来の収益を保証するわけではないという点です。小さな環境変化が次の悪化を招き、それがさらなる撤退を呼ぶことがあります。

モールが本当に売っているのは「人の流れ」

ショッピングモールでは、店舗の配置や館内の設計も収益構造の一部です。

スーパーや映画館などの大型店を離れた位置に配置すれば、来店客は反対側へ移動する途中で、多数の店舗の前を通ります。上りと下りのエスカレーターを離し、より多くの売り場を歩いてもらう設計もあります。

休憩用の椅子は、飲食店や商品、子どもの遊び場が見える場所に置かれることがあります。館内を安定して明るく保つことも、来店客が滞在しやすい環境づくりにつながります。

モールは買い物を強制できません。しかし、歩く道を設計し、商品を目にする回数を増やすことはできます。

つまり、テナントが賃料を払って買っているのは、単なる区画ではありません。そこを通る人の視線と足取りです。

オンラインショッピング時代に生き残る施設とは

以前は、多くの商品を一か所で見て、試し、比較できることがモールの強みでした。しかし、オンラインショッピングでは、スマートフォンを使って商品や価格、口コミを比較し、自宅で受け取れます。

そのため、商業施設には「商品を買う」以外にも、家を出て訪れる理由が求められるようになりました。

生き残りを目指す施設では、衣料品店だけでなく、次のような機能を取り入れる例があります。

  • レストラン
  • スポーツジム
  • 映画館や遊び場
  • クリニック
  • 仕事をする空間
  • 教室
  • 子どもを預けられる施設
  • 住宅、オフィス、ホテル

商品は配送できますが、友人と映画を見る時間や、家族と外食する体験をそのまま配送することはできません。住む、働く、運動する、食事をするといった複数の目的があれば、継続的な人流をつくれる可能性があります。

以前のモールが売っていたのは商品でした。これからの施設に必要なのは、人が家を出て、訪れ、長く滞在し、再び来たくなる理由だと考えられます。

個人が商業施設へ投資するときの考え方

大規模な商業施設の多くは、不動産投資を専門とする会社などが保有しています。複数の投資家から資金を集め、複数の物件へ分散して投資する仕組みもあります。

日本では、上場不動産投資信託であるJリートを通じて、不動産から生まれる利益の一部を受け取る方法があります。投資家自身が設備を修理したり、空室を埋める交渉をしたりするわけではありません。

ただし、Jリートを含む投資商品には価格変動などのリスクがあります。また、保有物件の種類や地域、テナント構成もそれぞれ異なるため、「不動産だから安定している」と一括りにはできません。

一方、個人が財産の大部分を一つのモールへ集中させると、地域の衰退や大型店の撤退が資産全体へ直接影響します。売却、修繕、空室対策が難しい巨大な建物だけが残る可能性もあります。

商業施設への投資を検討するときは、少なくとも次の点を分けて確認する必要があります。

  • 現在の人流だけでなく、地域の変化をどう見るか
  • 集客を支える大型テナントは何か
  • 賃貸契約にどのような条件があるか
  • 修繕が先送りされていないか
  • 空室が増えても維持費を負担できるか
  • 買い物以外の来訪目的があるか
  • 一つの施設や地域に資産が偏っていないか

購入価格の安さは、必ずしも割安さを意味しません。その価格が、将来の修繕負担や人流の減少、契約上の制約を反映している場合もあります。

ショッピングモール投資に関するFAQ

ショッピングモールは満室なら利益が出ますか?

満室に近くても、利益が出ているとは限りません。賃料が大幅に割り引かれていたり、大型店の賃料が低かったり、修繕費や借入金の返済が重かったりする場合があります。入居率だけでなく、契約条件と支出を含むキャッシュフローを見る必要があります。

大型テナントが重要なのはなぜですか?

大型テナントは、自店の売上をつくるだけでなく、施設全体へ人を呼び込む役割を持つからです。撤退すると来店客が減り、周囲の店舗の売上低下、賃料減額、退去へと影響が広がることがあります。

安く売られているモールは買い時ですか?

価格だけでは判断できません。安さの背景に、地域の衰退、修繕の先送り、不利な賃貸契約、大型テナントの撤退リスクなどが隠れている可能性があります。安い価格自体が警告になっているケースも考えられます。

商業施設の価値を判断するとき、何を見ればよいですか?

立地や建物だけでなく、人の流れ、テナントの売上と構成、賃貸契約、設備の状態、維持費、買い物以外の来訪目的などを確認します。現在のにぎわいが将来も続くかという視点も欠かせません。

個人でもショッピングモールに投資できますか?

モールを直接所有する以外に、Jリートを通じて商業施設を含む不動産へ投資する方法があります。ただし、保有物件や運用方針、価格変動などのリスクは商品ごとに異なります。仕組みを理解し、自分の資産状況に照らして検討することが大切です。

まとめ

ショッピングモール投資を考えるうえで、覚えておきたいポイントは次のとおりです。

  • モール経営は、建物を貸すだけでなく、小さな街を運営する事業に近い
  • 収入には固定賃料、売上連動賃料、管理費、広告や催事などがある
  • 入居率の高さと収益性の高さは同じではない
  • 大型テナントは、周囲の店舗を支える人流を生み出している
  • 空室が増えても、維持費の多くは同じ割合では減らない
  • 安い購入価格の裏に、契約や修繕、地域の問題が隠れていることがある
  • オンライン時代には、買い物以外にも訪れる理由が必要になる
  • 商業施設の本当の価値は、建物だけでなく人の視線と足取りにある

同じ建物でも、人が集まり、テナントが売上をつくれる間は収益資産になり得ます。一方、人流を失えば、維持費だけが残る重荷へ変わる可能性があります。目に見える建物や入居率だけでなく、その収入を支える仕組みまで見ることが重要です。

大型店の撤退からモール全体へ影響が広がる様子や、ななみが考える「人の流れこそが事業」という視点をさらに深く知りたい方は、ぜひYouTube動画をご覧ください。実際の語り口で聞くことで、ショッピングモール投資の収益とリスクをより立体的に理解できます。

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ご注意

本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。